ことば・語彙力は「知っていること」と「使えること」の両方が大切です。
ここでは、「方針・指針・考え方」「つまずき」「学力基盤の構築」「トレーニング・レッスン」「学習アドバイス・ご相談」の5つにまとめています。

ことば・語彙力


【方針・指針・考え方】

中央教育審議会(平成28年)答申には「語彙指導の改善・充実」として次のように書かれています。


中央教育審議会(平成28年):『幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)』P86

つまり、語彙を「知っていること」と「使えること」の2つの視点が大切だということです。

「知っている」とは、聞いたり読んだりするとき理解できることば・語彙のことで「理解語彙」と呼ばれています。また、「使える」とは、話をしたり、書いたりするとき使うことができることば・語彙のことで「使用語彙」と呼ばれています。
理解語彙を増やし、使用語彙にしていくことこそが語彙力の要となり、語彙力とは、ただ単に「知っている言葉の数が多いこと」ではなく、「話や文脈に合わせて適切な語を選択する力があること」だと言えます。

ぜひ、「知っている」の先の「使ってみる」を付け加えてみてください。

虫捕りをしていて「つかまえる」という語がマイブームになった我が家の二歳児は、「髪の毛をつかまえる」「どんぐりをつかまえる」と言っています。髪の毛は「つかむ」、どんぐりは「拾う」です。
(引用元:『語彙力を鍛える』 石黒圭・著 光文社新書)

以下のような会話や関わりを通して「理解語彙」、「使用語彙」を身につけることができます。

おとな

「見つめる」という言葉の意味を教えてください。

こども

目をそらさずに、じっと見ること。

理解語彙OK!

おとな

では、“見つめる”を使って一文作ってください。

こども

赤ちゃんは、お母さんの顔を見つめていた。

使用語彙OK!

文字をまだ書くことができないこどもへは、読み聞かせを通して、ことばの意味を予想させること、またその言葉を使い表現させることを取り入れると良いでしょう。小学生においては、学校の教科書に出てくる語彙について、先の会話例のように問いかけをすることで、語彙の力を育むことができます。また、国語科の教科書に限らず、他の教科で登場する語彙も同様に、会話を通して語彙の力を育むことができます。

ことば・語彙力


【学力基盤の構築】

以下の図は文部科学省委託調査による語彙数(理解語彙)に関するデータです。

学年が上がるほど保有する語彙量の差が大きくなっています。また、「理解語彙」が多いほど文を読む速度も速くなることがわかります。小学1年生の時点で語彙量に大きな差がみられますが、これは小学1年生以前での読み聞かせ体験や書籍等を通して得られた語数の差であると考えられます。
下の表は、小学校1年生の国語科の教科書に掲載されている語数を調査したものです。

国語教科書の語彙シラバス 東洋大学国際教育センター 田中祐輔氏

2回以上出てくる語彙を除いたものを「異なり語数」と呼びます。国語科だけで約2,000語が掲載されていますので、まずは国語科の教科書に掲載されていることば・語彙を身につけることが大切です。
語彙とは「名詞」だけではありません。動きを表す言葉、感情を表す言葉なども含まれます。さまざまな語彙を知り、使うことを、こどもと一緒に楽しもうとする大人の姿勢も大切です。

教科書に掲載されている語彙を「理解語彙」「使用語彙」の2つの観点から身につけることが学力基盤の構築につながります

ことば・語彙力


【つまずき】

ことば・語彙の習得において「つまずき」が気になる方も多いでしょう。
ここでは「つまずき」について、一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会理事の野瀨さんが解説をします。

まず、こどもの学校の宿題をしている姿や日常生活の様子を思い浮かべてみてください。

  • 音読のとき、何度読んでも文章の読み間違いが多く、読みがたどたどしい
  • 言葉の言いまちがいが多い
  • お話はスムーズにできるけど文字の読み書きができない
  • しりとりなどのことば遊びが苦手
  • 拗音(小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」)、促音(小さい「っ」「ッ」)などの特殊音を含む言葉の読み書きができない、伸ばす「ー」の場所が異なる

上記のような課題がなければ問題ないのですが、上記に該当する場合、言葉とかな文字の習得において重要な役割を果たす「ワーキングメモリ」と認知機能である「音韻認識*」の発達のいずれか、または両方の働きが遅れている可能性があります。

幼少期の「聞く・話す」と言った幼児期の「聞く・話す」は、耳から情報を入れることで直接言葉の数を増やし、ワーキングメモリと音の意識「音韻認識」の発達を促し、音と文字を一致させるなどといった就学後の「読み・書き」の基盤を作っています。
※「音韻認識」とは、言葉がどのような音でできているのかを認識し、それらの音を操作することです。

「ワーキングメモリ」「音韻認識」の2つの力の発達を促すことが、新しいことば・語彙の獲得、そしてその先の文章の読み、漢字の読みなどをスムースにしていくのです。

解説
小学校入学後に文字の読み書きの学習が始まりますが、小学校入学以前は耳で音を聞いてことばを学びます。「音韻認識」が正しくできることが「つまずき」を防ぐ第一歩となります。そのうえで、言葉の意味を覚えて、自分で使えるようになることで、ことば・語彙の獲得がスムースになります。

<参照>
こそだてまっぷGakken「語彙力」🔗
note「特殊音の読み書きが苦手な子どものためのトレーニング」🔗

ことば・語彙力


【トレーニング・レッスン】

「ことば・語彙を身につける」とは、脳内のメカニズムで表現をすると「ことば・語彙を長期記憶に保存する」ことです。脳の中の海馬という場所に保存される経験や知識をワーキングメモリという脳の働きを使って引き出すことで、私たちは文章を読み、理解をし、話す、書くなどの処理をしています。ことば・語彙を長期記憶に保存するためには、これらの処理を繰り返し行い、ワーキングメモリに働きかけることが重要です。

この脳内のメカニズムにはたらきかけるトレーニングの例として、以下をお勧めします。これは記憶した内容を想起するトレーニングです。

  1. 特定のジャンルに関する言葉
    例)魚の名前を挙げてみよう。
  2. 動き・感情・様子などに関する言葉
    例)「うれしい」を他の言葉で表現してみよう。
  3. 特定の文字で始まる(終わる)言葉
    例)「た」から始まる言葉を1分間でできるだけたくさん集めてみよう。
  4. しりとり
    相手が発する言葉の最後の文字を記憶して、その文字から始まる言葉を想起するため、
    語彙を増やすトレーニングとして適しています。

また、インターネットを活用した学びとして「学研キッズネット🔗」も有効です。言葉を検索するとその語に関連する語が多く表示されますので、自分の興味・関心に合う語彙が増えます。

<お薦めのレッスン>
脳内のメカニズムにはたらきかけるレッスンや教材をご紹介します。いずれも自宅から参加できます。

<テスト>

<法人様向けサービス>

Contactよりお問い合わせください。

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【学習アドバイス・ご相談】

一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会理事 / 株式会社インフィニットマインド上級インストラクターの野瀨まなみが、お子さまの「ことば・語彙」に関するご相談に個別に対応します。

30分 5,500円(税込)

ご相談担当

一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会理事
株式会社インフィニットマインド上級インストラクター

上級インストラクターの野瀨です。
お子さまの“学びの個性”を把握・理解し、個性に合わせた教育を行えば、 学習の筋道や速さが異なっていても、お子さまは、学びの喜びを感じ、自信を持って学習の道を歩み、ゴールに到達することができます。
こどもの「ことば・語彙力」を育む具体的な学習のアプローチなどご相談事はお気軽にお問い合わせください。